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NISA口座と「投資の終活」

「【投資の終活】NISAで運用中に亡くなったら相続税はどうなるのか?」

マネーポストWEBで「【投資の終活】NISAで運用中に亡くなったら相続税はどうなるか?」という記事が掲載されていました。
www.moneypost.jp
NISAでは、利益がでても所得税と住民税は課税されません。その一方で、NISA運用中に死亡した場合、相続人には通常通り相続税がかかります。
相続発生後は、被相続人名義のNISA口座の銘柄を相続人名義の口座に移管することができます。その際、相続人のNISA口座に移管することはできず、特定口座に移管します。相続人のNISA生涯枠に余裕があったとしても、相続人のNISA口座に移管することはできません(これを許してしまうと、例えば両親とその間のひとりっこという場合、父と母が各々NISA生涯枠1800万円を使い切った状態で亡くなると、その間の子は本人分と両親からの相続とでNISAで5400万円の枠を使えることになってしまいます。)。
被相続人の運用開始から相続発生までの間の利益は、課税対象になりません。相続発生から売却までの間の利益は、通常通り課税対象になります。相続人のNISA生涯枠に余裕があるのであれば、相続発生後に速やかに解約し、解約後の現金を原資にして相続人のNISA口座で運用を再開した方が有利です。

「投資の終活」のために準備すること

言われてみればその通りなのですが、NISA運用中に死亡という状況を今まで想定していなかったので、記事は勉強になりました。
「投資の終活」という観点から、私なりにいくつか補足してみます。
その一つは、NISA口座に限ったことはではありませんが、証券口座の存在を被相続人に伝えておかないと、相続人が苦労するということです。
私もそうですが、最近になってNISAを中心に投資をしている方は、ネットバンクとネット証券をメインに使っており、証券口座に関して紙ベースでの情報がほとんどありません。そのため、口座の持ち主が亡くなった後、相続人が証券口座の存在を知らない、どこの証券会社かを特定できない、という状況が生じます。
記事では、

いずれにしても元気なうちに相続する人、される人の双方で資産状況などを話しておくことが重要です。いざとなったときにどこに何があるか分からないというのが、残された人が最も困る問題です。後回しにせず早めに準備しておきましょう。

とありますが、早めの準備をしたがために、話合いから相続発生までに時間が空いてしまい、相続人がどこに何があるのかを記憶していないということもあり得ます。どこに何があるのかは生前に書面に残しておいたほうがよいです。
もう一つが、これもNISA口座に限ったことではありませんが、証券口座の移管には、相続人全員の同意が必要だということです。実務上は、証券会社所定の書式に、相続人全員の署名と実印での押印が必要です。相続人の人数が多いときや遠方に住んでいる相続人がいるときには、印鑑を集めるのだけでも一苦労です。
「投資の終活」のために、ある程度の金融資産をお持ちの方は、生前に遺言を残すことを強く薦めます。遺言書の財産目録で証券口座等を特定しておけば、どこに何があるのかがわからないということは防げます。また、遺言で遺言執行者を指定しておけば、相続人全員の署名押印がなくても、遺言執行者の署名押印で証券会社との手続をすることができます。